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インヘルノ マツモトトモ

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私が今一番好きな作品です、インヘルノ。インヘルノという言葉の意味はポルトガル語で「地獄」だそうです。

その名のとおりこの物語は、姉弟間の禁断の恋愛を描いた作品です。頭がよく、美しく、いつも冷静で、周囲の人間には聖域のようにたとえられていて、感情を表に出さないだけではなく、人に対して、「愛情」という感情を持てない姉、家入更と、その弟で、スポーツ万能、容姿端麗、激情型で頭に血が上ると何をしでかすかわからない弟、家入轟の、ガチの恋愛ストーリーです。

予備知識なく読み始めたので、まさか近親恋愛の話などとは思わなかったのですが、読んでいるうちにどんどん「…これは…これはまさか…」という緊張感とドキドキにさいなまれ、ただの物語なのに、こちらがいけないことをしているかのような錯覚に陥ってしまうほど、話に引き込まれていました。

近親恋愛といっても、いったいどこまで描く気なのだろうということは読みながらずっと疑問でした。

このマツモトトモさんという方の作品は何度か読んだことがありましたが、ほんわかした話が多く、恋愛を生々しく描くというよりは透明感のあるきれいな話を描く印象があったので、近親恋愛といってもお茶を濁して肝心なところはそんなに描かないのでは、と予想していましたが、全然そんなことはありません。ストーリー上、がっつり描いています。もちろん直接的な描写はあまりないのですが、一皮むけられたというか、確実に今までなかった領域に行かれたのだな、という印象を受けるくらいです。

そしてこの作品の見どころは、男前で、女に苦労したことなんてなさそうな弟、轟の苦悩にあると私は思っています。16歳の男の子が、好きになってはいけない人を好きになって、その気持ちを抑えられず、悶々と、行ったり来たり苦悩する姿が、本当に魅力的に描かれています。そしてその轟の気持ちを知っていながら翻弄する姉、更のことも、清楚に見せかけてぞっとするくらい悪女に描かれています。お互いのことが世界で一番大切なのに、大っぴらに愛し合ってはいけない現実。そして、二人のあやしさに気づき始める周りの人間たち。

常識的に考えると、二人は結ばれずにほかの人と結婚して終わる、高校時代のあのことは、火傷みたいな一過性のものだった、という結末になるのでしょうが、読んでいるこちら側からすると、どんな結果になっても、この二人が結ばれて永遠に一緒にいるというようなラストになってほしい、と思わずにはいられません。

Author:shopazuraazwa