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『風の谷のナウシカ』(漫画版)

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 「ナウシカ」といえばジブリのアニメ映画が有名ですが、さらにコアな人気を誇るのが、この漫画版のナウシカです。昔は知る人ぞ知るという感じで、アニメなどに詳しい人以外には「えっ、漫画版なんてあったの?」という結構マイナーな存在だったのですが、最近はネットの発達などで、知っている人も増えてきましたね。実はこちらがオリジナルで、映画の元になった作品でもあります。

 まず、漫画版を見てから気付くのは、映画版のシナリオは途中までの話だったということですね。漫画版では、話はあの蟲と瘴気に冒された世界や、その中で暮らす人間に隠された大きな秘密にまで迫っていきます。話のスケールも相当巨大で、特に第7巻の圧倒的な流れは、その金色っぽい本のカバーと相まって、伝説的な存在です。

 次に、筆者である宮崎駿氏の、漫画家としての力量ですね。一般に「監督」と呼ばれ、アニメーターやアニメ監督として知られる同氏ですが、漫画を書いても超一流なことには驚嘆させられます。実写映画のカメラが動いているかのようなレイアウトや、アニメーターならではの「動き」を感じさせる絵も素晴らしいし、また極力定規を使わず、漫画のコマの枠線までひたすら手で引いているあたりがまた、偏屈な天才型である宮崎氏の「絶対に人間は機械には負けないぞ」といったようなこだわりが垣間見えて、微笑ましいですね。さらには植物の一つ一つ、一般人の顔や体の一つ一つまでが全て実に丁寧に描かれており、宮崎作品を貫く哲学を、本人がしっかりと信じ、また血肉にしていることをうかがわせます。

 ただ、万人向けの映画版と比べて、少しナウシカが宗教的な救世主っぽくなっており、そこがあまり好きでない人もいるようです。実際「キリストっぽい」という友人もいます。私も正直に告白して、最初は映画版との差に戸惑いました。

 しかしやはり、漫画版には漫画版の圧倒的な力があり、私は漫画版を映画の後に読みましたが、今ではすっかり漫画版の信者ですね。好きな人はすっかりハマってしまう作品ですので、劇場版を好きな人もそうでない人も、ぜひ一度は読んでみてほしいと思います。名作です。

Author:shopazuraazwa