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百合もバラも咲いた時全てが始まる

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萩尾望都先生は、どの漫画でも鋭い感性の作品が多いと昔から思っていました。
そんな中で、現実味溢れる「百合もバラも」は、現代の日本の夫婦が何時自分の身に起こるか分からない、とても身近な題材を元にした作品です。
年頃の子供2人が居る夫婦に、3人目の子供が出来たと妻が夫に伝えるシーンから物語は始まります。
一番歳が離れた長男とは15歳違いになってしまうし、これから産むのかそれとも諦めるかで、夫と妻は其其自分の考えを廻らして行くのです。
明治、大正、昭和、平成と、昔は当たり前だった事でも今では驚く事の一つに「兄弟の人数の多さ」が挙げられます。
昭和の初め頃迄は、女性は結婚したら家庭に入って子供を沢山産む事が仕事の一つでも有ったのです。
現代の日本では、夫婦だけでペットを飼う人や、子供は1人で良いと考える夫婦、夫婦2人だけで子供は欲しくないと考える人達が急増しているのが現実です。
この物語は家族4人の他に、黒猫もペットとして登場しますが、母猫が生んだ子猫の内、黒猫の子猫のみ、未だ貰い手が無い状態です。
作品のタイトルにもなっている百合と薔薇の花は、頻繁に登場します。
百合の花言葉は、純粋、無垢、威厳で、薔薇は愛情と美なのですが、萩尾先生は意図的に2種類の花と黒猫の親子を「この世に生まれて来るのか、来ないのか未定の子供」と、繋げ合わせて行くのです。
花瓶に挿して置いた百合と薔薇の花が咲いた時に、妻は3人目の子供を産むと夫に告げます。
夫は妻の意見を最初から尊重していたので、直ぐに納得するのです。
3人目の子供が産まれる事を夫が職場の同僚、そして自分の親に電話で告げた時の周囲の反応も現実的で、高齢出産に肯定的な日本人は、少ないと感じました。
家庭内の事は家族にしか分からないと、この作品を読んで感じました。

Author:shopazuraazwa